15年の成果の上に新たな時代を築く
「ひらかれた場づくり」のチームへ
HEAD研究会は「HEAD研究会の理念」(2008年)、「研究会趣旨」(2010年・2014年)に基づいて、建築や不動産に関わる多様な分野で活躍した実績或いは活躍する可能性を持った多くの企業や個人が集い、いわば新しい「場の産業」の具体化を図り、時代を先導する大きなチームをつくり上げてきました。
そして、メンバーもまた活動の単位であるタスクフォースも格段に増えた今日、HEAD研究会は新たな活動の段階に入ります。
これまで知らず知らずのうちに、専門家の間だけで通じる言葉や、専門家の中だけで共有できる知識を前提として内部効率的な「産業化」を図ってきた私たちですが、今は、自ら暮らしや仕事の未来形を求めて動き始めた普通の人々の力を、私たちの時代の居住環境の形成に利するべき時です。SNS等の進展によって、自らの居住環境に関する人々の意識や行動様式は大きく変わりました。だからこそ、私たちは、専門家でなくても通じる言葉、専門家でなくても共有できる知識を前提とする「ひらかれた場づくり」を目指します。そこでは、普通の人々との共感を強く意識しながら、これまでの閉じた産業としての価値観や閉じた産業の中で築いた組織や技術の体系を徹底的に洗い直し、「ひらかれた場づくり」に真に貢献する自身のあり方を再構築することになります。
HEAD研究会らしく、多様な背景を持つ個人や企業が集っているからこその、先導的な「ひらかれた場づくり」チームを立ち上げて、またご一緒にひとあばれ致しましょう。
2023年1月
HEAD研究会理事長 松村秀一
2023年 早稲田大学理工学術院総合研究所上級研究員・研究院教授(専門は建築構法・建築生産)。1957年神戸市生まれ。1980年東京大学建築学科卒業。1985年東京大学大学院博士課程修了。工学博士。1986年より東京大学講師、助教授、教授、特任教授を経て2023年より現職。日本建築学会元副会長。現在、HEAD研究会代表理事、建築技術支援協会代表理事、団地再生支援協会会長も務める。日本建築学会賞(論文、2005年)、都市住宅学会賞(著作、2008年、15年、16年)、日本建築学会著作賞(2015年)等受賞多数。主な著書に「新・建築職人論-オープンなものづくりコミュニティ」(学芸出版社)、「和室礼讃」(晶文社)、「建築の明日へ」(平凡社新書)、「和室学」(平凡社)、”Open Architecture for the People – Housing Development in Post-War Japan”(Routlede)、「空き家を活かす-空間資源大国ニッポンの知恵」(朝日新書)、「ひらかれる建築-『民主化』の作法」(ちくま新書)、「建築-新しい仕事のかたち 箱の産業から場の産業へ」(彰国社)、「箱の産業」(彰国社)、「『住宅』という考え方」(東京大学出版会)など。
日本の建築と部品の潜在能力をとき放つ
過去50年間、日本は世界史上有数の規模の新築市場を抱え続けてきました。そして、その需要に応える中で、住宅などの建築を設計し施工する産業とその部分としての建材や部品を製造する産業は、国際的に見ても特異な発達を遂げてきたのです。今や建築設計、建築施工、建材・部品生産、いずれの分野においても、日本は質量ともに世界に誇り得る実力を有していると言っても過言ではないでしょう。また、長年継続した旺盛な建設活動の結果として、今では建物ストックが日本中であり余るほどになっています。
しかし、現実の日本社会あるいは国際社会において、この実力が十分に発揮されているとはとても言えませんし、十分な量の建物ストックが私たちの生活空間として豊かに使いこなされているとも言えません。個々にはよくデザインされたかもしれない部品が 集まって構成された現在の日本の住宅や町の景観が、その実力を発揮した結果だとはとても思えません。世界に通用する実力を持ちながら、国際的な建築市場での日本企業の活躍は実に控えめなものに止まっています。国内では折角の建物ストックが空き家や空きビルになり、まちの厄介者になってしまっている例が散見されます。とても残念なことです。
人口減少が始まり、超高齢社会到来の中で巨大な新築市場の継続が危ぶまれ始めた今の時代は、これら産業の大きな転換期だと言って良いでしょう。この大きな 転換期にあたり、今こそ、日本の建築や部品に関わる産業の実力を見直し、潜在するその能力をより豊かに発揮させる有効な方法を見出すべきだと考えます。 具体的には、これまで発言権が決して大きくなかった生活者や建物ストックの管理や流通に関わる方々をも交えた多くの関係者とともに、次の4つの事柄に取り組むことが重要だと考えました。
1.格段に進化したIT環境を最大限に活用し、建材・部品生産に従事する企業と建築設計・施工に従事する企業の間、更にはそれらと住まい手や事業主との間に、シナジー効果を持つ新たなコミュニケーション回路を確立すること。
2.日本の産業が世界の豊かな建築・都市環境形成に力強く貢献できるよう、複層型の国際交流を緩やかに、しかしあくまで戦略的に統合し、新たな市場を開拓するための確かな道筋をつけること。
3.今後重要性を増すことになる既存ストックの再生によるより豊かな居住環境の形成という分野において、日本の建築や部品に関わる産業の新たな活躍の場とその方法論を創出し、その新たな場に求められる産業及び専門家の能力を育成する。
4.生活者や建物ストックの管理や流通に関わる人々が、質の高い生活の場の形成に主体的に参加できる環境を整え、人と場、人と人の関係を豊かなものにするデザインの力を見直し、鍛え直す。
この4つの事柄は共通の狙いを持っています。それは、建築やそれに関連する活動を通じて自身の思考や能力を社会に役立てるべく研鑽を積む有望な若者たちが、その志に相応しい活躍の場を見出せる末広がりな産業的環境をしっかりと形づくることです。
また、4つの事柄の追求は、私たちの産業の目に余る日常を大きく変え、有望でしっかりとした産業的環境を作り出す、その重要な1歩になるものと考えています。
2010年5月 日本の建築と部品の潜在能力をとき放つ
2014年2月 加筆
HEAD研究会 副理事長 東京大学教授 松村 秀一
一.住まい手、建築家、建材・部品メーカー、ディーラー、住宅メーカー、 工務店、各々が同じ場を囲み、人間にとってより良い空間・環境をつくり出し、文化と生活の質を良くすることを最終目標として活動を行う
一.住まい手と建築家、メーカー、ディーラーを繋ぎ、情報の海を彷徨う個々人を導く羅針盤となる
一.日本の産業が世界の豊かな建築・都市環境形成に力強く貢献するための確かな道筋をつける
2008年2月20日 HEAD研究会準備会にて起案
HEAD研究会では総会により全体活動方針を決定いたします。(定時総会年一回)
理事会は業務執行の決定を行い、運営会議では各TFおよび会員活動の連絡、企画、調整を行います。
総会や運営会議、また全部門の定例会議のサポートを事務局が行い、またタスクフォース部門は、13のTF(タスクフォース)から構成されています。
総員数(2023/04/01現在)
個人会員…191名|法人会員…36社|U-30会員…58名
当研究会は、任意団体として2008年2月に発足したのち2011年に一般社団法人化を果たしました。
21世紀の新たな産業を切り開くべく、シンポジウムやスクール、定例会議を開催するなど様々な活動を行っています。
2008.02 | 任意団体としてHEAD研究会始動 |
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2008.10 | 国際化TF 設立 |
2008.10 | 建材・部品TF 設立 |
2008.10 | 情報プラットフォームTF 設立 |
2009.05 | 情報プラットフォームTF:2C-LIFE サイト開設 |
2009.10 | HEAD研究会シンポジウム開催@東京大学 |
2010.01 | リノベーションTF 設立 |
2010.03 | リノベーションTF:リノベーションシンポジウム大阪開催 |
2011.06 | ビルダーTF 設立 |
2011.08 | 第1回リノベーションスクール@北九州 |
2011.09 | 一般社団法人化 |
2011.10 | 設立シンポジウム |
2011.10 | 建材部品TF:第1回HEADベストセレクション開催 |
2011.12 | 制度改革TF 設立 |
2012.02 | 不動産マネジメントTF 設立 |
2012.03 | フロンティアTF 設立 |
2012.05 | リノベーションTF:リノベーション図鑑発刊 |
2013.04 | 新HP開設 |
2013.04 | HEAD youth 設立 |
2014.02 | ライフスタイルTF 設立 |
2014.03 | 第七回リノベーションシンポジウム@鳥取 |
2014.03 | 第六回リノベーションスクール@北九州 |
2015.05 | アートTF 設立 |
2015.05 | エネルギーTF 設立 |
2017.09 | オープンプロセスTF 設立 |
2018.11 | HEADジャーナル 発行 |
2021.01 | 市民防災TF 設立 |
2022.05 | 代表理事 松永安光 辞任 代表理事 松村秀一 就任 |
2023.01 | コミュニティアセットTF 設立 |